シニア猫の異常な鳴き声に悩むあなたへ。3つの持病を抱えた愛猫みるくが教えてくれた叫びの理由
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「最近、夜中に突然大声で鳴き続ける」「あてもなくウロウロ(徘徊)しながら叫ぶ」 シニア猫と暮らす飼い主さんが直面する、切実な悩みの一つが「異常な鳴き声」です。
単なる「わがまま」や「老化」だと思ってしまいがちですが、実はその鳴き声、猫ちゃんからの切実なSOSサインかもしれません。
【原因別】猫の鳴き声見極めチェックリスト
具体的な対策に入る前に、まずは愛猫が「なぜ鳴いているのか」を確認してみませんか?
鳴き声の理由が「わがまま」なのか「不安や病気」なのかによって、行うべき猫ちゃんへのケアは変わってきます。
あなたの家のケースはどれに当てはまるか、まずはこちらのチェックリストを確認してみてください。
チェックリストには各対策へのリンクもありますので、併せて読んでくださいね。
原因がわかっている方は、このまま読み進めてください。
| 鳴き声のタイプ | 主な特徴・症状 | 詳しい対策 |
|---|---|---|
| 要求・習慣 | ご飯、遊んで。特定の時間に鳴く。飼い主をよく観察している。 | 要求鳴き解決編へ |
| 不安・ストレス | 引っ越し、工事の騒音。ウロウロしながら低く太い声で鳴く。 | ストレス・環境編へ |
| 発情期 | 赤ちゃんの泣き声のような大きな声。未手術の子。 | 発情期・手術編へ |
| 病気・老化 | 突然の叫び。徘徊。夜中の激しい叫び(夜驚症)。 | このページで解決 |
猫の激しい夜鳴きの裏に隠れた3つの病態
シニア猫の「異常な鳴き方」には、主に3つの医学的な原因が考えられます。
猫の甲状腺機能亢進症(内分泌の異常)
8歳以上の猫の3〜10割が罹っていると言われる非常に身近な病気です。
鳴き声
夜中に興奮したように叫ぶ。絶えず鳴き続ける。
特徴
元気や食欲があるのに痩せていく。
理由
ホルモンが出すぎることで、体が24時間全力疾走しているような状態になり、脳が常に興奮してリラックスできなくなっています。
放置すると心臓や腎臓に負担をかけ、寿命を縮める恐れがあります。
猫の肥大型心筋症(HCM/心臓の異常)
心臓の壁が厚くなり、血液をうまく送り出せなくなる病気です。
鳴き声
不安げに鳴く。少し動いただけで苦しそうに鳴く。
理由
高血圧や循環不全による強い不快感や「死への不安」から鳴きます。
遺伝の注意点
アメショ、メインクーンなどの純血種だけでなく、その血を引く雑種(ハーフやクォーター)にも遺伝的リスクがあります。「雑種だから大丈夫」とは言い切れません。
遺伝の影響が強い猫種
以下の猫種は、遺伝的に肥大型心筋症(HCM)を発症しやすいことが分かっています。
- ・メインクーン
- ・ラグドール
- ・アメリカンショートヘア
- ・ノルウェージャンフォレストキャット
- ・ブリティッシュショートヘア
- ・スコティッシュフォールド
特にメインクーンとラグドールに関しては、特定の遺伝子変異が特定されており、ブリードの際には遺伝子検査が行われることもあります。
雑種だから安心ではない
「うちは雑種だから安心」とは言い切れないのがこの病気の難しいところです。
純血種の血を引いていなくても発症するケースは多く、猫の中で最も一般的な心疾患と言われています。
遺伝的背景が不明な場合でも、シニア期(あるいはもっと早い時期)に突然発症することがあります。
甲状腺機能亢進症との嫌なコンビネーション
甲状腺機能亢進症と合わせると、さらに注意が必要です。
二次的な肥大
もともと遺伝的に心臓が弱い子が、甲状腺機能亢進症によって「高血圧」や「頻脈(心拍数の増加)」になると、心臓の壁はさらに厚くなってしまいます。
悪循環
遺伝で心臓が悪いところに、病気でさらにムチを打つような状態になるため、心不全のリスクが急激に高まります。
猫の認知機能不全症候群(FCD/いわゆる認知症)
脳の老化により、認知機能が低下した状態です。
鳴き声
夜中の大きな叫び(夜驚症)、単調な声での徘徊鳴き。
特徴
壁にぶつかる、トイレの失敗、昼夜逆転。
理由
時間の感覚や場所の感覚がわからなくなり、深い混乱とパニックの中にいます。
認知症による夜鳴きは、空間認知能力の低下と心理的不安が直接的な原因とされています。
猫は暗闇の中で自分がどこにいるのか、飼い主さんがどこにいるのかを認識できなくなり、孤独感と恐怖心から、周囲を確認するために大きな声で鳴き続ける。
これは一種のパニック状態であり、飼い主さんが反応しても一時的にしか収まらない場合が多いです。
猫の加齢による視覚・聴覚の衰え
病気だけでなく、加齢による「目や耳の衰え」も、鳴き声の変化に大きく関係しています。
自分の声が聞こえなくてボリュームが大きくなる
人間でも、耳が遠くなると話し声が自然に大きくなることがありますよね。
猫も聴力が落ちてくると、自分の鳴き声の大きさが把握できなくなります。
猫ちゃんは、いつも通りあなたを呼んでいるつもりでも、無意識のうちに「叫んでいるような大声」になってしまうのです。
見えない・聞こえない不安からくる孤独感
覚や聴覚が弱まることは、猫にとって世界を認識する情報源が奪われることを意味します。
飼い主さんがどこにいるかわからない、周囲の状況が把握できない。そんな時、猫ちゃんは深い孤独とパニックを感じます。
「どこにいるの?」「怖いよ!」という不安な気持ちが、あの激しい叫び声の正体かもしれません。
【実体験】3つの病気が重なる過酷な「負のループ」
私が以前一緒に暮らしていた雌猫のみるくも3つの病気を患っていました。
こちらの画像は、左が若かりし頃で、画像ではわかりにくいかもしれませんが、割とコロンとした体型。右は旅立つ少し前で、すっかりやせ細ってしまった状態です。
もともとアメリカンショートヘアの血を引く雑種(ハーフかクオーター)で、「肥大型心筋症」の傾向がありました。
そこへ高齢になって「甲状腺機能亢進症」を発症し、さらに夜驚症やトイレの失敗といった「認知機能不全」のような症状も重なっていきました。
病気自体は知識として知っていましたが、夜驚症には本当にビックリ。
ある日突然「ワー」と「ギャー」が入り混じった、聞いたことがない、耳をつんざく鳴き声で、こちらがオロオロしてしまったのを覚えています。
良ければこちらも読んでください。記事内にトイレの失敗について書いています。
猫の粗相が治らない。18年間試行錯誤した飼い主が見つけた現実的な解決策とは
実際に経験して分かったのは、これらは別々の問題ではなく、すべて繋がっているということ。
心臓が苦しいから不安で鳴き、甲状腺のせいで興奮してさらに心臓に負担がかかる。そこに脳の混乱が加わり、パニックのような叫び声になる……。
みるくは「鳴かずにはいられない苦しいループ」の中にいたのだと気づかされました。
飼い主さんにできること
必ず獣医師の診断を仰ぎましょう。受診の際は以下を準備するとスムーズです。
特に動画は、言葉で表現しにくいことを映像にできるので、どんな症状かの聞き取りに併せて、短いものでもいいので動画を獣医師に見てもらってください。
獣医師が早く的確に猫ちゃんの病状を把握するための助けになりますよ。
動画を撮る
どんな声で、どんなタイミングで鳴くかを先生に見せる。
3つの数字をメモ
体重の変化、食事の量、おしっこの回数を伝える。
検査の追加をお願いする
血液検査の際、「甲状腺($T_4$)の数値も見てほしい」とはっきり伝えましょう。
適切な治療(投薬や環境整備)を始めることで、猫ちゃんの不安が収まり、穏やかな日常と静かな夜を取り戻せる可能性は十分にあります。
あなたの「何かおかしい」という直感は、猫ちゃんを救うための立派な初期診断です。ひとりで悩まず、まずは相談してみてくださいね。
診察とあわせて行いたい「お家での環境づくり」
お薬などの医学的な治療と並行して、あなたの猫ちゃんが安心できる「環境」を整えるのも、夜鳴きを穏やかにするためにはとても大切です。
安心と眠りをサポート
シニア猫ちゃんは視力が落ちたり、不安を感じやすくなったりしています。
優しい明かりを灯す
夜盲症(暗いところで見えにくい)の子のために、足元を照らす「ナイトライト」を置くと、空間が把握しやすくなり安心します。
音や光の刺激を減らす
窓に遮光カーテンを引き、外の車のライトや野良猫の気配を遮断してあげましょう。
飼い主さんの匂いで包む
寝床に飼い主さんの匂いがついたタオルを置くと、リラックス効果があります。
生活リズムを整える
寝る前の「穏やかな遊び」と「夜食」
就寝前に15分ほど優しく遊んであげて、その後に軽い夜食(ウェットフードなど)を与えると、満腹感からぐっすり眠りやすくなります。
昼間の日光浴
昼間にしっかり太陽の光を浴びることで、生活のリズムが整います。
体の中からケアする「栄養の助け」
脳の老化や不安を和らげるために、栄養面からのアプローチも効果的です。
脳を保護する栄養素
ビタミンEやDHA・EPAといったオメガ3脂肪酸は、脳の血流を助け、炎症を抑える効果が期待できます。
CBDオイル
最近では、不安を和らげる「CBDオイル」が高齢猫の夜鳴き改善の選択肢として注目されています。
※サプリメントやオイルを取り入れる際は、必ずかかりつけの獣医師に相談してから始めてくださいね。
飼い主さんの心を守る「防音対策」
鳴き声が近隣の迷惑にならないかハラハラすると、飼い主さんの大きなストレスになります。
吸音パネルや防音カーテンを活用して、お部屋の音を外に漏れにくくしましょう。
飼い主さんが心穏やかでいることが、猫ちゃんの安心にも繋がります。
詳しくはこちらを読んでくださいね。
猫の鳴き声に限界を感じる飼い主さんへ。初心者でもできる防音対策とあなたの心の守り方
猫ちゃんの「叫び」を「絆」に
高齢猫ちゃんが叫ぶように鳴くのは、決してあなたを困らせたいからではありません。
内分泌や神経、心臓など、複雑に絡み合った体の不調が、猫ちゃんを混乱させ、叫ばせているのです。
今の獣医学では、早期に発見して適切なケアをすれば、進行を遅らせ、あなたと猫ちゃんとの穏やかな時間を取り戻すことが十分に可能です。
その鳴き声を「苦痛のサイン」として受け止め、病院というプロの助けを借りてください。
あなたの可愛い猫ちゃんが、最期まで尊厳を保ち、静かな時間を過ごせるように。
そして、あなたが長年築いてきた愛猫との深い絆が、この先もずっと温かいものでありますように。
この記事が、そのための小さな架け橋になれば幸いです。
この記事の医学的参考文献
猫の行動異常や疾患に関する医学的知見に基づき、以下の信頼できるリソースを参考にしています。
Merck Veterinary Manual (Behavior Problems of Cats )※英語サイト
・猫の行動上の問題